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今月8日は成道会でございます。成道会とはお釈迦様が約2500年前にお悟りを開かれた日で、お釈迦様をたたえる日です。お釈迦様は釈迦族の王子としてお生まれとなり、四門外遊を機として、いろいろな修行を経て12月8日の明けの明星が輝く頃、お悟りを得たと言われています。この後最初の修行仲間を始めとして、大きな教団を作って行くわけですが、この教団、つまり仏教教団のことでありますが、当時のインドではとても考えられない大きな特色がありました。現代でもインドの大きな国内間題である身分制度の否定です。インドには大きくわけて、神官・僧侶に当たるバラモン、貴族・武士に当たるクシャトリア、商人階級のバイシャ、奴隷・下層民に当たるスードラと4つの身分に分かれ、それぞれの身分は生まれから決まっており、身分を変えることは出来ず、最下層のスードラは人間とすら認められていなかったようです。そのような時代の中お釈迦様は、「生まれによって賤民たるにあらず。生まれによってバラモンたるにあらず。行為によって賤民となり、行為によってバラモンとなる」とお説きに成られて、そのことを教団の制度として実践されたのでした。つまり、他の教団に於いては身分によって、教団に入れないものもあるなか、元の身分は一切問わず、教団の秩序のためにどうしても序列だけは必要でしたので、出家した順番だけの序列を付けたのでした。

生まれや家柄に何の実体もないことは、よく考えれぱ誰にでも分かることですが、残念なことに今の世の中でも周囲を見れば、人種的偏見、地位的偏見、男女差別、障碍者差別など、様々な偏見や差別にあふれています。これがお釈迦様の生きた古代の杜会に於いては、現代とは比べものにならないほどこの種の差別・偏見が多かったことは、容易に想像できることと思います。

そのような古代の杜会で、人間の本性が平等であることを主張するのみにとどまらず、更には仏教教団の制度として実践をされたわけです。ここに仏教の本質の1つが大きく表されていると思いませんでしょうか、何人足りと言えども差別をしない教え、それが仏教であります。我々仏教徒は、このお釈迦様の最も基本的な教えに従い、つい陥りそうな偏見や差別に気を付けて日々を過ごしましょう。

この「ご法話」は、浄土宗神奈川教区『テレホン法話』、平成12年12月分 第697話を掲載しています。