今月の言葉(掲示伝導)

「念仏の心得」

浄土宗を開かれました法然上人が亡くなる二日前に、『一枚起請文』という遺言を残されておりますが、その中に『三心』という言葉がでてまいります。

三つの心。わかりやすく言えば、念仏を称える時に、心構えがとして三つありますよ、ということで、その一つに『廻向発願心』というものがございます。

これは、極楽浄土に生まれたいと願う心を持つことです。「どうぞ阿弥陀様、私も年を取り、体のあちこちが痛くなってきました。お医者さんに言っても一向に治りません。一生懸命拝みますから、体の痛み取って下さい。」と言って申す念仏は、浄土宗の念仏ではありません。

また、「年末ジャンボ宝くじ、もう何年も買っているけど、末尾の300円しかあたらない。どうぞ、阿弥陀様、今年こそは10万円、もう一声100万円、いや一等前後賞まであたるようお願い致します。南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏。」と言って申す念仏も、浄土宗の念仏ではございません。

宝くじがあたるよう仏様にすがる気持ちは私も大変わかりますが…私達の称えます念仏は、私の様な至らない者ではありますけれども、何卒、浄土に迎え取り、往生させて頂きとうございます。と浄土往生を願っての念仏こそが、法然上人が勧められた念仏でございます。

しかし、念仏を称える心構えが決められているとしても、私達人間はなかなか守れるものではございません。法然上人は念仏を称える心構えはあるが、南無阿弥陀仏と称える内に、全て備わってくるのだと、おっしゃっております。念仏を称える時に色々な心がわき上がってくるかもしれません。

しかし、南無阿弥陀仏と称えれば、必ず極楽浄土に救っていただけると深く信じていただくことが、念仏の道を進む私達の、まず一歩になるのではないでしょうか。

鎌倉組正覚寺 脇川公暢